人が『luxury』を感じる瞬間とは、その空間に込められた想いを知り、感じ、驚きと同時に、自身の過去、現在、未来の全てを五感を通じて味わうことができた時です。『luxury』の正体は、情報量の密度であり、過去、現在、未来、全ての時間軸の情報が同一のベクトルを向いており、それぞれ３つの時間軸が美しい響きとなって、未来への希望、願いに繋がっている、“奥行きのある空間”と考えます。

『luxury』は、企画と発想、お客様の価値観を尊重し、どのような時間を過ごしていただきたいのか、考え抜いた先に生まれます。

今まで経験してきた、自身の人生を変えることになったであろう大切な出来事、辛かった経験や、葛藤を抱えながら過ごした日々、自身の歴史を思い返す。それでも、今ではそんな日々を受け入れ、毎日を過ごせていたことをありがたく思い、心から必要不可欠な経験であったと思える。

目を瞑り、深く呼吸し、また目を開ける。
“今、自分はここに生きている”。

そう認識することで初めて、“今 ”という時間軸に集中し、空間のもつ情報、豊かさを五感を通じて味わう準備がととのう。

この本来の豊潤な時間を味わうということは、一時的な体験にとどまりません。空間を出た後も自身の感性に波及し、反芻され、気付かぬ間に、未来をより豊かなものにするための大いなる体験として自身に刻まれるのです。

『luxury』な空間とは、今この瞬間、現在にその全てが集約され、お客様自身が、ありのままの自分、本来の自分に戻ることができる。そんな豊かな時間が流れ、その“豊かさを贅沢に味わう空間”のことであり、そこが、自分にとって居心地の良い場所となるのです。

『luxury』を感じる方は、多忙な方や毎日を全力で生きている方が多いと考えています。そんな方々が、利益やしがらみなどを抜きにして、自然体の自分が、“この先に生きていたい”、“生きてみたい”未来を思い描き、その未来を信じることができる。そして、お客様が『luxury』を感じた瞬間、私の想い、願いがお客様に受け継がれ、そこから、お客様自身がその想いを育て、紡いでいく。

実は『luxury』は、その方の心の中にあり、空間はそのサポートに過ぎないのかもしれません。そんな、かけがえのない空間を、時間を、アートをご提供できることが、私の腕の見せ所です。

その空間に、その方の人生、歴史は刻まれているのか、奥行きはあるのか、想いは込められているのか。この丁寧さが『luxury』をつくり出す鍵であり、私が大切にしたい価値観です。

“想い”で創り上げられた空間は色褪せることはありません。 その場所、その方の心で一生、“生き続ける”のです。

そして、真に『luxury』な空間は『relax』を内包し、絶妙なバランスで存在し続ける。この『luxury』と『relax』の比率が、“心地よさの正体”と考えます。この比率は、一人ひとり異なるため、いかにその方に寄り添い、バランスよく創り上げられるか。共存させていくのか。これこそが、私が考える『極上のluxury』であり、私の考える美しさです。

『luxury』と『relax』が調和し、
共存する世界を、この先も創り続けていきたい。